第27回国家資格キャリアコンサルタント論述試験 解答例(JCDA(日本キャリア開発協会))

2024.12.31

第27回国家資格キャリアコンサルタント論述試験 解答例

JCDA

問い1
事例Ⅰは、CLの不安を「ただね」(CCt8)と受け止めず、「何かが邪魔して」(CL7)、「確かに」(CL8)というCLの気づきについても「今は奮起するとき」(CCt7)、「考えすぎ」(CCt8)とCCtの価値観で励ましたり、説得したりと、終始一方的に面談を進めようとしている。
そのため会話がかみ合わず、CLの内省も進まない展開となっている。

事例Ⅱは、CL5を受け止め、その背景を問いかける(CCt5)ことで、前職での制度変更にまつわる経験の再現を促している。また、そのときのCLの気持ちに焦点を当てる(CCt7)ことで、CLのものの見方を明確にする(CL8)とともに、そこからさらに自問自答を促していくことで、「周りから嫌われることが怖かった」自分(CL10)と、一方、周りを気にすることで「頑張ってきた」自分(CL11)にも気づく展開となっている。

問い2
相応しくない
「確かにそういう面もあるかも」(CL8)というCLの気づきを受け止めず、「誰でも不安」というのはCCtの価値観に基づく一方的な応答であり、CLの気づきも深まらず、また、CLも納得できない様子を見せている(CL9)ため。

相応しい
「やり方を変えることは人と対立すること」というCLのものの見方を明確化する応答であり、そこから自己探索が進み、CLが今回の仕事を不安に思った理由、周りに嫌われないようにしていた自分に気づいていくきっかけとなっているため。

問い3
1.周りを気にして対立を避けてきた自分に「ぬるま湯」と感じる(CL10)一方、それによって「頑張ってきた自分」(CL11)にも気づき始めており、自己概念の揺らぎと自分がどうありたいのかの不明確さを感じる。
2.制度を変える支援について、「意味のある仕事」(CL9)と認識しつつ、周りから嫌われたくなくて避けようとている(CL10)ことから、思い込みと仕事理解の不足を感じる。
3.過去の経験の影響で、指導することが「できない」と思ってしまう(CL9)など、自身の経験、スキル、知識等を客観的に評価できていない自己理解不足の可能性がある。
※()は共通部分および事例Ⅱより

問い4
1.これまで仕事と家庭の両立に心を砕いてきたことを労いラポールを築く。
2.CL11をさらに傾聴することで、「周りを気にする」自分に対する内省を促し、自分自身への気づきを促すとともに、本来ありたい姿の明確化を促す。
3.これまでの事務経験を振り返ることで、経験やスキル、知識等を客観的に再評価し、自己理解を深める。
4.今回の仕事について、情報収集や面接時に感じた「意味やメリット」を明確化することで、
「やり方を変えることは人と対立すること」という思い込みの修正を支援するとともに、仕事理解を深める。
また、必要であれば今回の仕事で必要なスキル(例:適切な自己主張のスキル等)を確認し、習得を支援する。
5.これらにより、CLが今回の税理士事務所の内定を受けるかどうかを主体的に意思決定できるよう支援する。