「キャリアコンサルタントの資格を取得しても、仕事がないのではないか」
「資格を取ったあと、どのような場所で働けるのか」
「独立や副業で収入を得ることはできるのか」
キャリアコンサルタント養成講習を検討している方や、資格を取得したばかりの方から、このようなご質問をいただくことがあります。
キャリアコンサルタントの仕事はあります。しかし、資格を取得すれば、すぐに安定した仕事や収入が得られるとは限りません。
今回は、キャリアコンサルタントの仕事の現実と、資格取得後に考えておきたい働き方についてお伝えします。
この記事のポイント
キャリアコンサルタントとして働くためには、資格だけでなく、これまでの職歴、専門性、実務経験、活動したい分野との組み合わせが重要です。
キャリアコンサルタントは本当に仕事がないのでしょうか
キャリアコンサルタントの求人や仕事は存在します。
例えば、次のような場所でキャリア支援に関わる仕事があります。
- 企業の人事・採用・人材育成部門
- 大学、専門学校、高校などの教育機関
- ハローワークや自治体の就労支援窓口
- 人材紹介会社や人材派遣会社
- 職業訓練校や就労支援機関
- 福祉分野における就労支援
- 企業から委託を受けて行うキャリア面談
- 研修講師やセミナー講師
- 個人向けのキャリア相談
一方で、「国家資格キャリアコンサルタントを持っていれば、それだけで採用される」という求人ばかりではありません。
資格に加えて、相談経験、人事・採用経験、教育経験、就労支援経験、業界経験などを求められることもあります。
そのため、資格を取得したものの、希望する仕事がすぐに見つからず、「キャリアコンサルタントは仕事がない」と感じる方もいます。
「仕事がない」と言われる理由
1.資格だけで応募できる求人が限られている
キャリアコンサルタントの求人には、「資格必須」と記載されているものもあります。
しかし、資格に加えて、相談業務や人材業界、教育機関、就労支援などでの経験が求められる場合があります。
特に、実務経験のない方にとっては、「資格は取得したが、応募できる求人が少ない」と感じることがあります。
2.正社員の相談専任職だけを探すと選択肢が狭くなる
キャリアコンサルタントの仕事には、正社員だけでなく、契約社員、非常勤、業務委託など、さまざまな雇用形態があります。
また、キャリア相談だけを担当するのではなく、求人開拓、就職支援、応募書類の添削、セミナー運営、事務業務などを兼務する仕事もあります。
「正社員で、相談業務だけを行う仕事」に限定すると、求人の選択肢は少なくなります。
3.資格取得者と実務経験者は同じではない
資格取得のために学んだ知識や面談技法は、仕事を始めるうえで大切な基礎となります。
ただし、実際の相談者は、試験のロールプレイのように整理して話してくれるとは限りません。
相談者の状況を理解し、面談記録を作成し、必要に応じて他の専門職と連携するなど、現場では幅広い対応が求められます。
そのため、資格取得後も継続的に学び、実務経験を積み重ねることが必要です。
キャリアコンサルタント資格の活かし方は一つではありません
キャリアコンサルタントとして活躍する方法は、独立して個人相談を行うことだけではありません。
現在の仕事を続けながら、資格を活かす方法もあります。
企業内で資格を活かす
人事、採用、社員面談、人材育成、管理職としての部下支援など、企業内でキャリアコンサルタントの学びを活かすことができます。
「キャリアコンサルタント」という職種名でなくても、日常業務の中でキャリア支援に関わることは可能です。
これまでの経験と組み合わせる
キャリアコンサルタント資格だけで仕事を探すのではなく、これまでの職歴や専門性と組み合わせることが重要です。
- 人事経験とキャリアコンサルタント資格
- 教育経験とキャリアコンサルタント資格
- 営業経験と転職支援
- 管理職経験と企業内面談
- 福祉経験と就労支援
- 特定業界での経験と、その業界で働く人への支援
これまで経験してきた仕事や業界を振り返ることで、自分だからできる支援の方向性が見つかることがあります。
本業と両立しながら活動する
本業を続けながら、副業、地域活動、社内活動、研修講師などの形でキャリア支援に関わる方法もあります。
キャリアコンサルタント専業になることだけが、資格を活かす方法ではありません。
独立すれば稼げるのでしょうか
キャリアコンサルタントとして独立することは可能です。
ただし、資格を取得しただけで、相談の依頼が自然に集まるわけではありません。
独立して活動するためには、相談技術だけでなく、次のような準備も必要です。
- どのような相談者を支援するのかを決める
- 提供するサービスの内容を整理する
- 相談料金を設定する
- 契約書や同意書を用意する
- 個人情報を適切に管理する
- 相談場所やオンライン環境を整える
- ホームページやSNSなどで情報を発信する
- 継続的に相談技術を学ぶ
相談技術と、事業を運営する力は別のものです。
独立を考える場合は、「資格を持っているから何を提供できるか」ではなく、「誰の、どのような悩みを支援できるか」を考えることが大切です。
実際に活躍している6名のキャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントの働き方は、人によって大きく異なります。
書籍『キャリアコンサルタントの仕事と将来性がわかる本』では、異なる分野で活動する6名のキャリアコンサルタントにインタビューしています。
FILE 1 独立し、キャリア相談の普及に取り組むキャリアコンサルタント
独立してキャリア相談を提供するとともに、キャリア支援を広める活動に取り組んでいる事例です。
FILE 2 経験を活かして転職を支援するキャリアコンサルタント
これまでの職務経験や専門性を活かしながら、転職を希望する方の支援に関わっている事例です。
FILE 3 独立して活動するキャリアコンサルタント
独立後にどのように仕事をつくり、キャリア支援を事業として続けているのかを紹介しています。
FILE 4 本業と両立するキャリアコンサルタント
本業を続けながら、キャリアコンサルタントとしての活動を両立している事例です。
FILE 5 企業内で資格を活かすキャリアコンサルタント
企業に所属し、人事、社員支援、人材育成などの場面で資格を活かしている事例です。
FILE 6 教育現場で資格を活かすキャリアコンサルタント
学校などの教育現場で、学生の就職支援やキャリア形成に関わっている事例です。
6名に共通していること
資格だけで仕事をしているのではなく、これまでの職歴、専門性、経験、活動分野とキャリアコンサルタント資格を組み合わせています。
資格取得後、最初に何をすればよいのでしょうか
資格を取得したあと、すぐに理想の仕事が見つからない場合でも、資格取得が無駄になったわけではありません。
まずは、次のことから始めてみてください。
- これまでの職歴や経験を棚卸しする
- どのような人を支援したいかを考える
- 興味のある活動領域を調べる
- 相談業務だけでなく、周辺業務も含めて求人を探す
- ロールプレイや事例検討を続ける
- 実務経験のあるキャリアコンサルタントから学ぶ
- 面談や支援の振り返りを習慣にする
最初から「キャリアコンサルタントだけで生活すること」を目標にする必要はありません。
現在の仕事や、これまでの経験の中で資格を活かせる場面がないかを考えることも、資格取得後の大切な一歩です。
キャリアコンサルタントの仕事のリアルを知りたい方へ
『キャリアコンサルタントの仕事と将来性がわかる本』では、実際に活動する6名のキャリアコンサルタントの仕事、働き方、資格の活かし方を紹介しています。
これからキャリアコンサルタントを目指す方だけでなく、資格取得後の仕事や活動の方向性を考えている方にもお読みいただきたい一冊です。
これからキャリアコンサルタントを目指す方へ
資格の内容、養成講習、試験、取得後の働き方まで知りたい方には、改訂・改題版『キャリアコンサルタントになりたいと思ったら読む本』もおすすめです。
キャリアコンサルタント資格は、取得することがゴールではありません。
資格取得後、自分の経験や強みとどのように組み合わせ、どのような人を支援したいのかを考えることが大切です。
仕事の現実を知ったうえで、自分に合ったキャリアコンサルタントとしての一歩を考えてみてください。