# 効く聴き方

2022.3.7

 
 

「会話は聴く側が支配する」

 
 
聴く側次第で、

目の前のクライエントの話す内容も変化し、

その後の行動や可能性にまで影響するという意味です。

言い換えれば、聴く人次第で会話に活気が生まれ、

話し手の幸せな未来にまで影響を及ぼすこともある、

ということではないでしょうか。

「傾聴(聴く)」は多くの場面で長年取り上げられているテーマであり、

聴き方のノウハウはたくさん世に出されているにもかかわらず、

現在もしばしば話題になります。

専門家として「聴く」を実践する私たちは、

そのあり方で「聴く」ことの大切さ、

奥深さを伝えていくことも社会的な役割の一つだと考えています。

聴くためのスキルやテクニックについては、

本や情報源から取り入れていただくことにして、

本記事ではスキルとは違う側面で聴くことを考えてみたいと思います。

読者の皆さんには、読み終えた後、肩の力を抜いて

実践に取り入れていただけるとうれしいです。

 
 

 
 

聴こうとすると聴けなくなる

 
 
個人的意見ですが、多くの人は

話を聴いてくれる人のことが好きなのではないか

(少なくとも、あまり嫌いにはならない)と考えています。

ということは、「この人には話したくない」と

感じるタイプの人がいるということでもあります。

例えば、クライエントの目から見た聴き手が


◎話しているのに遮る
◎考えているのに先に答えを言われる
◎求めていないのに評価や比較をされる
◎自分を否定するような態度

等、話し手が個人として

尊重されていないと感じられる姿勢は、

スキル以前の問題とも言えるでしょう。

こうならないために、聴き手には話し手が心地良く、

たくさん話せる場をつくることが求められているわけですが、

手法にとらわれると話が入ってこなくなる人も少なくないようです。

 
 

 
 

そもそも「相談」とは

 
 
キャリアコンサルティングにあたっては、

クライエントの抱える課題や悩みを聴きながら

自分がもつ知識や情報の提供をすることが多いかもしれませんし、

成果や実績が重視される業務を

引き受けられている先生方にとっては、

聴くことばかりに時間を割いていられないケースもある等、

それぞれの事情はあるものの、

相談業として重視したい点が置き去りにならないように

気をつけたいものです。

本記事を書くにあたり、

いくつかのキーワードを書き出す作業をしていて、

ふと「相談」という単語が気になったので調べてみました。

筆者が所有する国語辞典(新明解国語辞典第四版)によると、

【相談】とは、

「自分だけではよくわからない(決めかねる)ことについて、
他に意見を求める(他と話し合う)こと」

と記載されていました。

つまり、クライエントが一人では決めかねる

悩みごとに意見をもらう、

あるいは話し合うために相談に訪れるのであって、

キャリアコンサルタントの意見や情報収集、

指導に従うためのものではなく、

あくまで一つの選択肢として、

解決のためにプロの話を聞いてみるということであって、

それを必ずしも採用する義務はなく、

最終的にはクライエントが自分の意思で決めるということなのです。

この点を、プロフェッショナルのマインドとして

しっかり認識しておく必要があります。

日々の業務だけに気をとられてしまうと、

情報提供や提案等で相談を進めてしまい、

結果としてクライエントがあまり話してくれず、

信頼関係が築けない等の課題を

自分で生み出す可能性もあります。

それでは、本来の相談にするための聴き方とは

どうしたら良いのでしょうか?

 
 

 
 

聴いてもらう目的

 
 
聴くトレーニングをする際には、

何のために聴くのかを考える機会が多くありますが、

逆にクライエントが聴いてもらうのは何のためでしょうか?

ご自身が話し手になった場合を

イメージするとわかりやすいと思うのですが


◎感情・考えを整理する
◎迷いや悩みに折り合いをつける
◎自分に確信をもちたい

等であって、聴き手の考えや答えよりも、

自分と向き合うことが目的ではないでしょうか。

ということは、先に2で述べた

【話したくない人】の聴く姿勢では、

相談として成立しないことは明らかです。

つまり、話し手は受け止めてくれる・見守ってくれる、

安全・安心な聴き手を求めているのであり、

これは会話が成立する土台となる条件であることは

皆さんもご存じのとおりです。

そこでここからは、

スキルで「やること」は一旦横に置いて(捨てるわけではない)

【聴く】の効果を上げる心構えについて検討します。

 
 

 
 

効く聴き方をととのえる

 
 
⑴ クライエントを見る

クライエントの話を、どこを見ながら聴いていますか?

あなたが対話するのはメモではなく、クライエントです。

クライエントについて、事前に情報を得ることは

悪いことではありませんし、

相談を受ける際にその準備が役立つことも多いでしょう。

注意したいのは、相談の申し込み時とは

クライエントに何らかの変化が起きている可能性もある、という点です。

それが、当日あなたと会うほんの少し前ということだってあるのです。

今、この瞬間にクライエントから発信される情報を

受け取る聴き方を意識してみてください。

ここでの聴き方は、観察することと似ています。

クライエントの表情、話すスピード、声のトーン等はどうでしょうか?

ややこしいテクニックは不要です。

観察し、そのままを受け止め、「聴いていますよ」

という反応を返すことが、効果的な聴き方につながります。
 
 
 
⑵ 呼吸を意識する

かつて、あるセミナーに参加した際、

「話すことは、息を吐き出すことにつながっている」

という話をされていたのを聴いて、

クライエントが息を吐き出すことを意識するようになりました。

相談に臨むとき、特に初回などは

さまざまな感情と緊張感が入り混じり、話し手も聴き手も、

少なからず力が入っているのではないでしょうか。

会話の場面に限らず、力が入っているときは

呼吸が浅くなっていることが多いです。

ラポール形成のために行う雰囲気・場づくりとあわせて、

呼吸を意識してみてください。

聴く姿勢に入る前のルーティンとして、

深呼吸やマインドフルネスを取り入れている方もいます。

また、クライエントが緊張しているように感じたら、

聴き手から「私も緊張しています」と笑顔で自己開示してみましょう。

筆者自身も、これを伝えた瞬間に空気が和らぐ体験を多くしてきました。

互いが同じ空間にいることを感じ、

一緒にその時間を築いていこうという認識が自然に整います。

話が始まったら、聴くスキルも取り入れながら、

クライエントが自由に、

たくさん話せる時間=息を吐き出せる場と時間をつくっていきましょう。
 
 
 
⑶ 相談はクライエントのものと心得る

相談内容と、相談につながるすべての事項は

クライエントのものであることは、

読者の皆さんは当然ご承知のことでしょう。

自分が聴き手になった瞬間から

◎主役はクライエント
◎相談時間はクライエントのもの
◎クライエントはあらゆる場面で尊重される

ということです。

クライエントの話を横取りし、貴重な時間を奪い、

存在を無視していないか、

自分の面談やロールプレイングを振り返る習慣をつくり、

効く聴き方につなげていきましょう。

話の進め方、今の感情、この後の時間をどう使いたいか等、

場合によっては質問を用いて確認してください。

それが、クライエントが大切に扱われていると感じられる瞬間でもあるからです。

 
 

 
 

おわりに

 
 
今回は、【聴く】のスキルとつながる心構えに

焦点を当ててお伝えしてきました。

執筆しながら、ずっと描いていた理想的な聴く姿は、

小さい子どもとの会話でした。

無邪気にいろんな話を行き来している子どもの話を、

否定せずに面白がって受け止め、

「いいね、もっと聴かせて」「それで、それで?」と返すイメージです。

そこには互いの損得や勝ち負けはなく、

何を話しても大丈夫、楽しかった、また聴きたい、聴いてほしいと

感じられる会話が、あちこちで繰り広げられたらうれしい。

そんな穏やかな時間を増やしていきたいとあらためて感じた次第です。

【聴く】ことは、コミュニケーションにおける長年の課題であり、

日常の業務となるとうまくいかないこともあるけれど、

聴き方次第で誰かの未来に貢献できる可能性をもっています。

あきらめずに磨いていきましょう。

 
 
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