# 子育てと仕事を両立させたいキャリコンの方々へ

2022.7.20

 
 

01. キャリアコンサルタントと子育て

 
 
日本では少子高齢化が年々深刻化していますが、

それに比例するように、

若者や働き盛りの世代が様々な「両立」を

強いられる割合が増えつつあります。

ドナルド・E・スーパー氏が提唱する

「ライフキャリアレインボー」の考え方に沿って言えば、

「人生における役割」とその比重が増え、

それぞれのバランスを保つことが困難とされるため、

「両立」に悩む人が多いのではないでしょうか。

また、両立と一言で言っても様々な両立があります。

例えば、

介護と仕事の両立。

病気療養と仕事の両立。

妊活と仕事の両立。

そして、今回取り上げる、子育てと仕事の両立です。

ただでさえ両立が難しい子育てと仕事の両立ですが、

「キャリアコンサルタントならではの子育てと仕事」

というものを今回、

具体的なお話を交えながらお伝えしようと思います。

現在キャリアコンサルタントとして働かれている方、

これからキャリアコンサルタントを目指される方の中にも、

子育て世代の方は少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

キャリアコンサルタントは、キャリアの専門家。

キャリアコンサルタントとして「子育て」というライフイベントといかに上手く関わっていくか、

考える機会になれば幸いです。

 
 

 
 

02. キャリアコンサルタントだって悩んでいい

 
 
まず大前提として、キャリアコンサルタントも一人の人間です。

そして、親という立場を経験するのも初めてです。

初めてのことにはどんな人間も戸惑いますし、

子どもが1歳だとしたら、親も「親として1年生」なのです。

「キャリアコンサルタントだからうまく両立できるはず」

と気負いすぎないことが大事だと思います。

子育てと一言で言っても、

「共働きの子育て」
「両親と同居の子育て」
「シングルでの子育て」
「転勤族の子育て」
「多胎児の子育て」
「生活困窮状態での子育て」

など、人の数だけ子育てがあり、その数だけ悩みがあります。

ご自身が何に困っているのか、

どんな状態になれば家族がうまくいくのか、

ご自身や家族とコミュニケーションの機会を持ちながら、

向き合って頂ければと思います。

幸いなことに、キャリアコンサルタントというお仕事は、

ライフイベントを多く経験しただけ

クライアントへの支援の幅も増えるもの。

向き合った分だけご自身の糧になると思って、

ご自身の子育てを大切にされてください。

 
 

 
 

03. 子育てのフェーズによって働き方を変えるのも一つ

 
 
ジョブ型雇用が進む昨今、

キャリアコンサルタントという資格ホルダーだからこそ、

一つの働き方に固執せず、

柔軟に働き方を変えることも、対処の一つです。

フルタイムで働いていたのを

パートタイムや時短に変えたり、

リモートでの作業に変えたり、

個人事業主になることだって、

キャリアコンサルタントには可能です。

子どもの月齢・年齢や、子どもの性質、

小学校受験・中学校受験など、

どうしても子どもに比重を置きたい時期は、子育て中あります。

しかし、それは永遠には続きません。

子育ての比重が減れば、仕事の比重を増やせばいいのです。

「この状態はいつまで続くのか」あるいは

「子どもにいつお金や手間がかかる時期なのか」を客観的に見て、

短期的には苦しくても、中長期的な目線で考えていけば

うまくいくように考えた方がうまくいきやすいです。

もちろん、働き方を変える分だけ

自分の条件に合った仕事を見つけることは大変ですし、

職場への交渉も必要にはなってきますが、

その時のご自身や家族にとってちょうどいい働き方をすることが、

効果的にワークライフバランスを保つ秘訣だと考えます。

 
 

 
 

04. よいキャリアコンサルティングを行うために

 
 
コーヒーカップモデルで有名な國分康孝氏は、

「カウンセラーに求められる4つの人間性」

について言及しています。

その4つとは「人好き」「共感性」「無構え」

そして「自分の人生」

詳細は以下の通りです。

・人好き
…人好きの人間とは、自分を好いている人間である。自己受容ができていること。
・共感性
…クライエントと類似の感情体験があるとき生じてくる。カウンセラーは日常生活でできるだけ多様な感情体験をしておくのがよい。
・無構え
…天真爛漫、天衣無縫で、防御がなければないほど好ましい。
・自分の人生
…カウンセラーは自分の人生を持たなければならない。自分の人生が幸福なとき、初めて人の幸福が喜べるのである。

この中で注目したいのは、4つ目の「自分の人生」です。

子どもがいると、どうしても子育てと仕事の両立でクタクタになりがちですが、

心身が疲弊していると良いカウンセリングができません。

忙しくても睡眠はしっかり確保する、

食事をキチンと摂る、

一人でゆっくりリフレッシュする時間を持つ、

家族団らんをしたり笑顔でいられる時間を作る。

家事が溜まったり、子どもから離れることで

罪悪感を感じてしまう方も多いかもしれません。

けれど、自分自身を満たし、整えることを習慣化すると、

結果的に家族のためにもクライアントのためになります。

良いキャリアコンサルティングをしたい、と思ってらっしゃる方は、

まずご自身を整え、ご自身の人生を楽しむことを忘れないようにしてほしいと思います。

 
 

 
 

05. キャリアコンサルタントならではの利点

 
 
余談のようなものですが、子育てをしていると

「キャリコンでよかった」と感じるシーンが数多くあります。

例えば、子どもと接する時。

子どもは大人ほど言語能力が豊かではありませんし、

何を伝えたいのかわからないことも多々あります。

そんな時にマイクロカウンセリングにおける

「かかわり行動」を使います。

「視線の合わせ方」「身体言語」「声の調子」「言語的追跡」

意識すると、子どもも安心して話をできるように感じます。

また、「今日、幼稚園どうだった?」「今日学校どうだった?」と

オープン・クエスチョンで質問しても、

子どもが返答に困ってしまう、というシーンがあります。

そんな場合に「今日暑かったけど、水筒のお茶足りた?」だったり、

「昨日休んでいたお友達、今日は来てた?」といったように、

子どもにとって負担にならない

クローズド・クエスチョンで少しずつ質問をしていくと、

子ども「もっと話したい」という気持ちになるかもしれません。

このように、カウンセリング技法を使いこなして

子どもとコミュニケーションを図ることも可能です。

また、パートナーや子どもと意見が衝突してしまうことがあるでしょう。

そんな時にも「パートナーはこうしたい」

「けれど、自分はこうしたい」

「お互いが歩み寄れるポイントはないだろうか」というように、

アサーティブな態度で接することで、

相手を傷つけずに問題を解決してく

コミュニケーションをできるかもしれません。

キャリアコンサルティングの習慣が体に染みつけば染みつくほど、

周囲との人間に対して穏やかに接することができるようになった、

という話を他から聞くことがあります。

自身の体験やそういった意見を耳にすると、

もっとたくさんの人がキャリアコンサルティングを学べば、

社会はもう少し穏やかになるのではないかと思ってしまいます。

 
 

 
 

06. 最後に

 
 
いかがでしたか?

キャリアコンサルタントとしての活躍の場は様々ですし、

どんな子育てをされているかは人それぞれ、

事情や立場はみな違うと思います。

どんなに毎日忙しくて大変だったとしても、

ふとした瞬間で「キャリコンをしていてよかった」

あるいは「子育てしていてよかった」と感じられたら、

それはきっと「幸せ」なのではないでしょうか。

 
 
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