# 男女キャリア平等について考える

2022.8.22

 
 

01.女性活躍社会は実現するか

 
 
「M字カーブ」という言葉をご存じでしょうか。

キャリアコンサルタントであればよく聞く言葉のひとつですが、

これは世代ごとの女性の就業状況をグラフで表した際、

グラフの形が「Mの字」に似ていることからそう呼ばれています。

女性の労働力率は20代に上昇し、

出産・育児期にあたる30代に落ち込み、再び上がります。

これを問題視し、働き方改革や女性活躍推進活動によって

M字カーブの解消しようという動きが持続してありました。

そうした中で、2020年に内閣府から

「選択する未来2.0」の中間報告(sankou.pdf (cao.go.jp))が

発表されました。

この発表によると、ここ数年でM字カーブの解消が

進みつつあることが明らかになったのです。

内閣府はその要因として保育の受け皿の拡大を一例にあげています。

日本での女性活躍は少しずつ実現してきている。

一見すればそう見えます。

しかし、この調査結果の詳細は女性の

非正規雇用の割合が非常に多い

という事実を表していました。

この資料の中で「L字カーブ」という言葉が登場します。

20代後半にピークを迎えた女性の正規雇用率が、

まるで山を転げ落ちるように下がり続ける様子を、

Lの字を傾けた形になぞらえて名付けられました。

これは、M字で回復したとされる労働力のほとんどが

働き方も不安定で賃金の安い、

非正規雇用であるという事実を表しています。

これに対し、労働経済学を専門とする亜細亜大学の権丈教授は

「他の先進国では非正規雇用労働者の割合は、
中年期に低下する男性と同じ形を描くのに、
日本の女性の場合は年齢と共に上昇する。
だから特殊なんです」

と話しています。

女性の就業率が上がったとしても、

経済的に豊かであるかどうかはまったく別の問題。

日本にも「同一労働同一賃金」の制度が導入されたとはいえ、

欧米と同じような働き方に移行していくには、かなりの時間を要するようです。

 
 

 
 

02.男女不平等なのは職場でなく「家庭内」

 
 
上記で述べてきた女性の就業率や正規雇用率の問題についての

大きな要因として「家事分担」が考えられます。

LinkedInジャパンが行った

「女性の社会活動についての意識調査」という調査があります。

ビジネスに特化したソーシャルプラットフォーム、

LinkedInジャパンは2020年9月に、

日本在住の全国各地の女性750人を対象に、

オンライン上で調査を実施。

年齢は18~65歳と幅広い世代に対して調査を行い、

未婚・既婚を問わず、勤務状況もフルタイムからパートタイム、

フリーランス、専業主婦など、様々な女性からの意見を集めました。

「日本社会の中でどんな時に不当に扱われたと感じたか?」

という質問に対して、

「家事分担の話し合い中」が33%、

次に「職場」が30%、

「夫・元夫から」が27%という驚きの結果となりました。

つまり、

職場よりも家庭内で女性が不当に扱われている

という結果がハッキリと現れたのです。

この調査の中で、「女性の仕事の機会を妨げているもの」の要因として

「家族の世話、育児の責任などの社会的な期待」は51%となっており、

家事の外注やベビーシッターの利用などへの

後ろめたさを感じさせる風潮が確かにあるようです。

特に子育て世代の女性に関しては、

子どものケアや学校関係の業務、

掃除や洗濯などの家事を主に自身が担っていると

回答した女性は90%を超えます。

子どもが熱を出したために園や学校からの呼び出しがあったり、

PTAの会議への出席、宿題のチェックや、

学校の準備物の用意などに加えて、

コロナ渦となれば突然の休校への対応、

子どもが家にいる状態でのリモートワークなど、

人間が一人で対応できる業務量を遥かに超えている上に、

かなりストレスフルな状況になってきてしまいます。

こうした背景もあってか、

「将来的に幹部職まで昇進したい」は7%、

「将来は自分の事業を立ち上げたい」は14%、

「より大きな機会を追求するために転職したい」は12%と、

いわゆる「キャリア志向」の女性は全体のたった3割にとどまっています。

つまり、7割以上の女性が自分の成功や、

新たな挑戦を諦めているという現実が浮き彫りになりました。

政府は「2020年までに女性管理職率30%」を掲げていましたが、

2020年での結果は、蓋を開けてみればたったの7.5%。

女性管理職の問題に関しては女性の意識の問題にもされがちですが、

そもそも家庭での責任の重さによるものではないかよということが、

このLinkedInの調査でより強く類推できるのではないでしょうか。

この調査で、事業の立ち上げや転職願望がある、

「キャリア志向」に分類される解答をした女性たちも、

「その方がワークライフバランスの融通がきくからだ」

という理由が推測されます。

こうした生活に根付いた価値観こそジェンダーギャップであり、

多くの女性たちが「不当だ」と感じながらそれを受け入れている状況は、

改善の兆しが見えない現実に対していっそ諦めてしまっているようにも伺えます。

もちろん、職場における女性活躍の比率や立場の改善は引き続き必要ですが、

それだけは根本的解決にはならない、

ということは頭に入れた上で対策を講じていく方がよいでしょう。

 
 

 
 

03.支援を行っていくうえで

 
 
目の前のクライエントがこうしたジェンダーギャップで苦しんでいる場合、

大前提として

「キャリアコンサルタント自身が偏見や
思い込みによる対応をしないこと」

が重要です。

上記では女性にフォーカスしてお話してきましたが、

例えば男性のクライエントが「実は今、育休中なんですが……」と言った話を

始めた場合、「男なのに」「昇進は大丈夫なの」など、

反射的に相手をジャッジするような質問や返答をしないよう、

重々気を付けたいものです。

そうは言っても、キャリアコンサルタントもひとりの人間です。

ふとした瞬間に普段意識していない偏見が

出てしまう瞬間があるかもしれません。

そうならないように、日頃から自分自身を俯瞰する習慣をつけたり、

自分自身にイラショナル・ビリーフが存在するかどうかを確認するようにしましょう。

また、たくさんの人と出会い、様々な相談を受けていくと、

自分の生きてきた世界や価値観が

いかにちっぽけだった気づく瞬間がいくつもあります。

反対に、相談件数を重ねていくと自分自身に慢心して、

ただ数をこなしていくだけになって

価値観が凝り固まってしないかも気を付けないといけませんが。

目の前のクライエントに真摯に向き合っていくことが、

いつか出会うクライエントのためになる、

と自分に言い聞かせながら日々自己研鑽している気持ちで

相談に臨まなくては、と思います。

私たちにできることは限られています。

しかし、男性であれ、女性であれ、

目の前のクライエントが自分らしく働くことができ、

職場で居心地よく感じられるように、

そして、自身の可能性を諦めないでいられるように、

精一杯支援をしていけたらと思います。

参考文献
「選択する未来2.0」中間報告sankou.pdf (cao.go.jp)/内閣府

 
 
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