問題把握は、相談者と“心が通う瞬間”をつくるための最も大切なステップです

2025.10.5




【技能士2級】問題把握の本質|信頼関係が深い人ほど焦点がぼやける理由

キャリアコンサルティング技能士2級の面接試験で多くの受験者がつまずくのが「問題把握」です。
実は、しっかりと話を聴けている人ほど焦点がぼやける傾向にあります。
今回は、第34回試験をもとに、採点官・面接試験官の視点から「問題把握がぼやける原因」と「改善のヒント」を解説します。

 


 

01.問題把握とは何か

問題把握とは、相談者の話をただ聴くだけではなく、本質的な課題を明確にするプロセスです。
相談者の発言の背後にある「感情・価値観・背景・意思決定の要因」を理解し、何が相談者にとって一番の課題なのかを整理していきます。

この段階で焦点が定まると、後半の「具体的展開」や「方策立案」がスムーズになります。
逆にここが曖昧なままだと、全体が流されるような面接になってしまいます。

 

02.問題把握がぼやける原因

多くの受験者が誤解しがちですが、問題把握がぼやけるのは「聴けていないから」ではありません。
むしろその逆で、基本的態度と関係構築力が充実している証拠なのです。

信頼関係が深まると、相談者は「もっと聴いてほしい」「この人ならわかってくれそう」と感じて、気持ちよく多くを語ってくれます。
情報が豊かになる一方で、内容が複雑化し、焦点が見えにくくなるのです。

つまり、関係構築ができている人ほど、情報が増えて「何が本質的な問題か」がわかりづらくなるという構造です。
ここを自覚し、冷静に整理することが大切です。

 

03.問題共有の重要性

問題把握の段階で最も忘れられがちなのが、相談者との「問題の共有」です。
キャリアコンサルタントが「問題はここだな」と一方的に判断し、確認をせずに目標設定へ進んでしまうケースがよく見られます。

その結果、相談者はどこか納得していない表情を見せます。
これは、相談者の中で「自分の課題」として腹落ちしていないサインです。

問題はここかなと感じたら、ぜひ以下のように言葉で共有してください。

「〇〇が一番のお悩みということでよろしいでしょうか?」
「お話を伺っていて、△△の部分に一番困っておられるように感じますが、いかがでしょうか?」

この一言で、相談者との認識が一致し、面接の方向性が整います。
焦点化は、共有から生まれるのです。

 

04.バーバル・ノンバーバルを感じ取る

相談者が発する「言葉(バーバル)」だけでなく、表情・姿勢・声のトーン(ノンバーバル)にも意識を向けましょう。
語尾の変化や視線の動き、手の動作などから、言葉にされていない本音が見えてくることがあります。

相談者が「話したくない」「まだ触れてほしくない」サインを出しているときに無理に踏み込むと、関係性が崩れてしまうことも。
逆に「もう少し聴いてほしい」ときに寄り添えば、より深い信頼関係が築けます。

問題把握とは、“分析”ではなく“感じ取ること”。
面接官が評価するのは、相談者を「正確に理解しようとしている姿勢」です。

 

05.まとめ|焦点化は「共有」から生まれる

問題把握の精度を高めるために、次の3つを意識しましょう。

  • 関係構築が進むほど情報が増えることを理解する
  • 問題を“独りで決めない”。相談者と必ず共有する
  • バーバル・ノンバーバルを通じて、感じ取る姿勢を持つ

キャリアコンサルティング技能士2級では、「相談者と共に考え、整理し、共有する」姿勢が評価されます。
焦らず、丁寧に。
相談者とともに“心で課題を見つめる”ことが、合格への第一歩です。