【技能士2級】具体的展開力とは?相談者の「気づき」と「変化」を引き出す力

2025.10.6




【技能士2級】具体的展開力とは?相談者の「気づき」と「変化」を引き出す力

キャリアコンサルティング技能士2級の面接試験では、相談者との信頼関係をもとに、どのように「気づき」や「変化」を生み出せるかが評価されます。
今回は、第34回試験をもとに、採点官・面接試験官の視点から「問題把握からの影響」「目標設定」を解説します。
この記事では、評価区分④「具体的展開力」について、合格につながる面談の考え方をわかりやすく整理します。

 

 

01.具体的展開力とは

「具体的展開力」とは、次のように定義されています。

相談者との関係性を意識しながら面談を進め、相談者の訴えを理解した上で適切な目標を設定し、
キャリアコンサルタントとしての対応を適切に選択し、対応できることで、
相談者に気づき、変化(問題に対する認知の変化、自分または重要な他者に対する認知の変化、
自己の表面的な表現から内面表現への変化、具体的行動や意欲の変化など)が起こること。

つまり、「話を聴く」で終わらせるのではなく、面談を通して相談者に意味ある変化を起こすことが求められます。
この“変化”は大きなものではなくても構いません。
相談者が少しでも前向きになり、次の行動や考え方につながるような変化であれば十分評価されます。

 

02.評価区分の関係性|①~④はつながっている

「具体的展開力」は評価区分④ですが、これは単独では成立しません。
①基本的態度、②関係構築、③問題把握を土台として成り立っています。

前段の①~③がしっかりできていれば、相談者との信頼関係が深まり、自然と具体的展開につながります。
逆に、どれか一つが欠けると展開がうまくいかず、全体の印象が弱くなります。

評価区分は相互に関連しており、全体の底上げが具体的展開力の得点アップにつながる点を意識しておきましょう。

 

03.目標設定と対応(方策)の選択

「具体的展開力」の中核は、目標設定と方策選択です。
これは、③問題把握で整理した「相談者の課題(相談者視点)」と「キャリアコンサルタント視点での課題」を踏まえて、
共に納得できる目標を設定し、その目標に向けた適切な方策を選択する流れです。

たとえば、相談者が「転職活動がうまくいかない」と話していた場合、
「なぜうまくいかないのか」「どんな支援が必要か」を一緒に考え、
「まずは自己理解を深める」「求人情報を整理してみる」などの目標を共有していくことが求められます。

 

04.面談で求められる「気づき・変化」とは

面接試験で高評価を得るための鍵は、相談者に気づきや変化が起こっているかです。
これは「問題に対する認知の変化」「自分や他者に対する理解の変化」「考え方の整理」「行動や意欲の変化」などを指します。

たとえば、次のような状態が見られれば、十分に評価されます。

  • 面接前よりも気持ちが整理され、前向きな表情になった
  • 新たな視点に気づき、「なるほど、そういう見方もあるんですね」と発言した
  • 面談後に「〇〇してみます」と具体的な行動を自ら言葉にした

変化の大きさよりも、「来た時」と「帰る時」に何かが変わっていることが重要です。
それが、キャリアコンサルティング面接の目的であり、評価基準の核心です。

 

05.試験での見通しと口頭試問の重要性

実技試験では、20分間の面接内で具体的展開まで進まなくても構いません。
しかし、面談の中で相談者に何かしらの気づきや変化が見られれば、十分に加点対象となります。

また、口頭試問でその変化の見通しを的確に説明できるかどうかも重要です。
「この面談を通じて、相談者は○○という気づきを得ていたように感じます」「次の面談では△△を目標に支援を進めたいと考えます」など、
一連のプロセスを見通した回答ができれば合格に近づきます。

面接と口頭試問は別の試験ではなく、一体の流れとして設計されていることを意識して臨みましょう。

 

06.具体的展開力のポイントまとめ

最後に、採点官が重視する「具体的展開力」の3つの観点を整理します。

  • 問題に対する適切な目標が設定・共有できている
  • 目標に対する適切な方策が選択・共有できている
  • 相談者に気づき・変化が起こっている

この3つが丁寧にできていれば、相談者の表情にも変化が現れ、面接官にも伝わります。
焦らず、信頼関係を軸に、“相談者とともに作る展開”を意識しましょう。