【第35回技能士2級】ロールプレイ事例1人目を徹底解説|決められない相談の本質とは

2025.11.25

【第35回技能士2級】ロールプレイ事例1人目を徹底解説|決められない相談の本質とは

  第35回キャリアコンサルティング技能士2級・ロールプレイ事例1人目は、 「複数内定のうち最終1社を選べずに悩んでいる大学4年生」がテーマです。

就活の終盤である 1月の時期背景、
「選べない」「不甲斐なさ」「焦り」といった 感情の揺れ、
さらにその奥にある 意思決定の迷いや価値観の混乱 が重要ポイントとなります。

本記事では試験で押さえておくべき整理視点、感情キーワード、問いかけの方向性を
“試験で使える形” にまとめていきます。

   

01.ケース概要

    相談者は、 就職活動で「複数社の内定を獲得し、2社まで絞ったものの最終決定ができずに悩んでいる」状況です。

比較検討しても決められず、年が明けた今も判断できないことで、
「不甲斐なさ」「焦り」「迷惑をかけている」という罪悪感も感じている様子。

一見すると「A社かB社か」という選択相談ですが、本質は、

決められない自分への自己否定

後悔したくないという強い恐れ

比較に疲弊し、価値観が揺らいでいる

といった心理面にあります。

ロールプレイでは、「どの会社がいいか」を議論する前に、
“なぜ決められないのか” の背景を丁寧に聴いていく姿勢が求められます。

   

02.調べておくべき基礎知識

    ロールプレイ本番では、相談者の置かれている状況を理解するために 以下の基礎知識を押さえておくと問いかけが安定します。    

1.大学4年生の終盤(12〜1月)の心理

・内定承諾期限が迫る
・友人の進路が固まり、「乗り遅れ感」を持ちやすい
・親からの期待や意見が増える
・卒論や引越し準備の負荷が重なる

心理的プレッシャーが非常に強く、正常な判断がしづらい時期です。

2.意思決定に迷いやすいタイプの特徴

・完璧に決めようとする
・情報を集めすぎて混乱する
・「後悔したくない」気持ちが強い
・他者の目を気にしてしまう

今回の相談者のキーワード
「不甲斐ない・迷惑をかけている・焦る」
とも一致します。

3.複数内定を持つ学生が抱える典型的な迷い

・仕事内容のイメージがつかない
・どれも魅力的に見える or どれも決め手に欠ける
・自分の価値観が定まっていない
・選んだ後に「違ったらどうしよう」と不安になる

このあたりの“よくある迷い”を知ったうえでロールプレイに臨むと、
相談者の言葉を適切にひろいやすくなります。

   

03.大学4年生「1月」という時期背景

    相談者が今置かれている 「1月」 は、就活の中でも非常に特殊な時期です。

・内定承諾期限が迫りやすい
・周囲は進路確定済みで比較が起こりやすい
・卒業準備と並行し心身ともに疲れやすい
・親からのプレッシャーが強まりやすい

つまり、相談者の「焦り」「不甲斐なさ」は、
本人の性格ではなく“時期特有の負荷” による可能性が高いのです。

この理解を持ってロールプレイに入ると、
寄り添いの質が大きく変わります。

   

04.感情キーワードの深掘り

    今回の事例には、ロールプレイで必ず拾いたい「重要キーワード」が含まれています。  

不甲斐なさ
・どんな時に自分を「不甲斐ない」と感じるのか
・本当に本人の能力の問題か、それとも状況要因か

焦り
・何が「急いで決めなきゃ」という焦燥感につながっているのか
・焦りが強まる瞬間(家族の言葉?友人の進捗?)

迷惑をかけているという罪悪感
・誰に迷惑をかけていると思っているのか
・その背景に「良い子でいたい」価値観があるのか

決められない
・本当に“企業の比較”が理由?
・それとも“後悔したくない”という恐れ?

これらを表層で終わらせず、
「その言葉の裏にどんな思いがあるのか」 を丁寧に聴くことが
試験で高評価につながります。

   

05.キャリアコンサルタントとしての視点

    このケースで重要となる視点を整理します。  

1.選択基準が曖昧になっている
比較はしているが、
“何を最も大事にしたいのか”
という基準がまだ見えていないため決められない可能性があります。

2.問題は「企業選び」ではなく「決められない不安」
自己否定・焦り・後悔への恐れが中心で、
企業情報の問題ではない場合が多いです。

3.時期的プレッシャーが意思決定を妨げている
1月は認知が狭まりやすく、
「完璧に選ばなきゃ」という思い込みが強まりがちです。

4.核心は“後悔したくない”気持ち
相談者が恐れているのは「間違った選択」ではなく
“後悔して落ち込む自分” の姿である可能性があります。

この視点を持って話を聴けると、
試験官から「本質を押さえている」と評価されやすくなります。

   

06.ロールプレイでの問いかけ方向性

    本番で使える問いかけを「方向性」として整理します。  

1.まず“感情の整理”から入る
・焦りが強まるのはどんなときですか?
・不甲斐なさは、どんな自分を見たときに感じますか?

2.相談者の価値観を言語化する
・学生生活で「自分らしくいられた瞬間」はどんなときでしたか?
・そのとき周りにはどんな環境や人がいましたか?

→「どんな働き方が合っているか」のヒントになる。

3.比較の軸を整理する
・仕事内容
・成長機会
・働き方
・勤務地
・社風・価値観

優先順位を話しながら、一緒に整理していきます。

4.決められない“本当の理由”に寄り添う
・いちばん怖いと感じていることは何ですか?
・後悔するとしたら、どんなことだと思いますか?

感情に寄り添いながら不安の正体を見つめていきます。

   

07.まとめ

    第35回事例1人目は、「企業の比較よりも「決められない自分」の整理が中心テーマ」となるケースです。

大学4年生の1月というプレッシャーの強い時期、
不安・焦り・不甲斐なさといった揺れる感情に丁寧に寄り添いながら、
相談者自身の価値観や優先順位を一緒に言語化していく姿勢が求められます。

ロールプレイでは、

・感情を丁寧に拾う
・「自分らしさ」につながる価値観を引き出す
・比較の軸を整理し、優先順位をつける
・後悔への恐れに寄り添う

といった流れを意識することで、
相談者の気づきを促しつつ、試験官にも「理解が深い」と伝わります。

ぜひ今回の整理をもとに、
ご自身のロールプレイに活かしてみてください。