【第35回技能士2級】ロールプレイ事例3人目を徹底解説|管理職としての自信喪失と役割葛藤の背景とは

2025.11.27

【第35回技能士2級】ロールプレイ事例3人目を徹底解説|管理職としての自信喪失と役割葛藤の背景とは

今回は、第35回キャリアコンサルティング技能検定2級のロールプレイケース(事例の一つ)を、いつもの流れで丁寧に読み解いていきます。

長年同じ会社で働き、現在は部下を持つ立場の相談者。
上司からの指摘をきっかけに、自信を大きく揺らがしてしまっている状況です。

1. 相談者概要

●相談者:中堅〜ベテラン層の社会人

大学卒業後、IT関連の企業に長く勤務しています。
現在は開発部門のリーダー的立場にあり、複数名の部下を持つ役職です。

●相談したいこと(要約)
上司との面談で、
・プロジェクトがうまく回っていないこと
・部下への関わりが優しすぎるのでは、といった育成面の指摘
を受けた。

この出来事をきっかけに、
・自信がなくなる
・モチベーションが続かない
・管理職としての適性がないのではという心配
が強まり、今後どうすればよいのか分からなくなっている。

2. まずはキーワードを丁寧に整理する

ロールプレイ試験では、まず最初に“事実情報”を丁寧に整理することが大切です。
今回は以下のようなキーワードが見逃せません。

  • IT企業・開発部門(プロジェクト進行のプレッシャーが強い業界)
  • 長年勤務している(役割や責任の積み重なり)
  • 部下を持つ役職(育成・評価・調整の負荷)
  • 上司からのフィードバック(外的評価)
  • 優しすぎるという指摘(育成・関わり方への葛藤)
  • プロジェクトが上手く回っていない(自身の能力を疑いやすい状況)

この段階では「相談者が置かれている状況そのもの」がどれだけ負荷のある環境かを事実ベースで理解します。

3. 感情の言葉を読み取る

次に、相談者の“心の動き”を表す言葉を拾います。
今回のケースでは以下のような感情ワードが明確です。

  • 自信が保てない
  • モチベーションが続かない
  • 管理職の適性がないのではという心配
  • どうしたらよいか分からない

これらはすべて、“特定の対象(=管理職の役割)に対する心配”が中心になっている表現です。
評価された内容が具体的であったため、相談者の中で「自分は向いていないのでは」という思いが強くなっていると読み取れます。

4. いま相談者に起きていること

ここまでの事実と心の動きを整理すると、相談者には以下のような状態が生じていることが分かります。

  • 役割への期待と現実のズレ(ロール葛藤)
  • 評価されなかったことによる落胆
  • 自身のリーダーシップスタイルへの心配
  • 長年の経験が揺らぎ、キャリアの方向性が見えにくくなっている
  • 心配の大きさにより思考が狭くなっている

こうした背景を踏まえると、相談者が「今後どうしたらよいか分からない」と感じているのは自然な流れです。

5. 初回ロールプレイでの入り方

技能士2級のロールプレイでは、初回の入り方が非常に重要です。
焦って解決策に行くのではなく、相談者が感じている“揺らぎ”を受け止めることがポイントです。

例えば、以下のような入り方が自然です。

「部長からのお話を受けて、いま一番心配に感じておられることはどんなことでしょうか?」

このように、相談者が抱いている具体的な“心配”を丁寧に言語化していく姿勢が評価されます。

  • 事実確認よりも心配や気がかりの整理を優先する
  • 指摘をどう受け取ったのかを丁寧に聴く
  • 相談者の価値や強みに再び目を向けられるよう支援する

6. まとめ

今回のケースは、管理職としての役割期待と自身のスタイルとの間で葛藤し、
上司からの指摘をきっかけに自信を揺らがしてしまった相談者の事例でした。

ポイントは次の2つです。

  • 事実(業務状況・立場・指摘内容)と感情を分けて整理する
  • 相談者が抱く“具体的な心配”に寄り添い、思考の幅を取り戻せるように支援する

あなたなら、この相談者にどのような問いかけから入りますか?
ロールプレイでの視点を深める参考にしていただければ幸いです。