【第35回技能士2級】ロールプレイ事例4人目を徹底解説|50代が直面する“キャリアの選択”をどう支援するか

2025.11.29

【第35回技能士2級】ロールプレイ事例4人目を徹底解説|50代が直面する“キャリアの選択”をどう支援するか

==============================================================

【第35回技能士2級】ロールプレイ事例4人目を徹底解説|50代が直面する“キャリアの選択”をどう支援するか

 

第35回キャリアコンサルティング技能士2級・ロールプレイ事例4人目は、
会社の大きな転換点をきっかけに、50代管理職が今後の働き方を見直す相談 がテーマです。

事業の継続が難しくなっている背景や、
次世代を担う若手が育っていない現状、
そして長く一緒に働いてきた“社長の決断”を目の当たりにして、
自身のキャリアをどのように舵取りするかを考えている状況が描かれています。

「強みを活かすべきか、新しい分野に挑戦すべきか」
「今後はどんな方向性でキャリアを築くべきか」
といった、人生後半の重要な意思決定に関わるケースです。

本記事では、試験で問われる視点から、背景理解・感情・問いかけ方向性を整理します。

   

01. ケース概要

 

本事例の相談者は50代の管理職。
長年勤めてきた会社において、事業の方向転換 が避けられなくなり、
今後のキャリアをどう築くかを考えざるを得ない状況です。

背景には、
・業界の構造変化
・事業を支える若手の不足
・ベテラン社員の高齢化
・後継者問題
など、“継承”に関わる現実的な課題があります。

さらに、経営者の決断(会社の大きな方針転換)を間近で見たことで、
自身の働き方について向き合う必要性を強く感じている様子です。

相談者は
「自分の強みを次のステージでどう活かすか」
「未経験の分野へ挑戦するべきか」
といった方向性で迷い、相談に訪れています。

   

02. 50代キャリア相談で押さえるべき前提

 

50代のキャリア相談では、次の点が非常に重要です。

1. 会社の変化=個人の転機になる
事業方針の変更、縮小、再構築、継承問題など、
外的要因が相談者のキャリアに直接影響する。

2. 経験と立場が“資産にも制約にも”なる
・管理職としての豊富な経験
・長期の人脈や関係構築力
・一方で専門特化していると選択肢が狭く感じる
など、プラスとマイナスが同居する。

3. 家庭・生活・教育費などのライフイベントが重なる
キャリアの選択が家族の生活にも影響する時期。

4. 自己の強みを再整理するフェーズ
「何ができるか」よりも
「何を大切にして働きたいか」
が明確になることが重要。

   

03. 相談の背景にある主要テーマ

 

このケースでは、次のテーマが複合的に絡んでいます。

1. 継承と若手不足
・事業を支える若手が育っていない
・技術やノウハウが継承されにくい
・将来の見通しが立てにくい

2. 経営者(社長)の大きな決断
・長年の友人だからこそ受ける影響が大きい
・覚悟ある判断を通じ、相談者も将来を考えざるを得ない

3. 自分の強みをどう活かすか
・経験・営業力・関係構築力
・管理職として培ったマネジメント
「今後どこで生かせるのか」が焦点。

4. 新しい分野への挑戦の迷い
・未経験領域への不安
・経験分野を続けるかどうか
・これまでのキャリアをどう再編集するか

5. キャリアの方向性を決める“人生後半の選択”
・何を軸に働くのか
・どんな働き方を望むのか
・次のステージをどうイメージするか

   

04. キーワードの深掘り

 

このケースの本質に関わるキーワードを深掘りします。

継承
技術・文化・ノウハウが次世代につながっていない現状。
相談者の“仕事人生そのもの”を揺さぶるポイント。

若手不足
将来の組織像が描けない状態。
相談者のキャリア継続のイメージに影響。

経営判断(社長の決断)
身近なリーダーの覚悟ある決断を見て、
自身のキャリアにも向き合うきっかけになっている。

強みを活かす・活かし方を変える
経験をどう次に生かすのか。
マネジメント力・営業力・関係構築力などの棚卸しが必要。

今後の方向性
今後のキャリアの軸をどう設定するかが最大のテーマ。
結論ではなく“選択の基準づくり”が重要。

   

05. キャリアコンサルタントとしての視点

 

以下の視点がロールプレイで特に重要です。

1. 状況理解(外的要因)と感情を分けて整理する
事業環境と相談者本人の価値観を丁寧に切り分ける。

2. 強み・経験の棚卸し
・営業としての実績
・管理職としての経験
・人材育成や関係構築の力
本人が見落としている強みの再確認を支援。

3. 価値観の再構築
・働くうえで大切にしたいこと
・家族や生活とのバランス
・仕事を通して成し遂げたいこと
これらの軸を一緒に整理する。

4. 選択肢の現実化
・強みを活かす方向
・新しい分野に挑戦する方向
・組み合わせる可能性
“どちらか”ではなく“どう考えるか”を促す。

5. 意思決定プロセスの支援
結論を急がず、相談者自身が納得できる基準をつくる支援が重要。

   

06. ロールプレイでの問いかけ方向性

 

ロールプレイ本番では、以下の質問が効果的です。

1. 現状の理解を深める問い
・会社で起きている変化を、どのように受け止めておられますか?
・社長の決断を聞いて、どんな思いがありましたか?

2. 強み・経験を引き出す問い
・これまでの仕事で培ってきた強みは何だと思われますか?
・周囲から評価されることはどのような点でしょうか?

3. 今後の方向性を考える問い
・これからどのように働いていきたいと感じていますか?
・新しい分野に興味がある場合、どんな点に引かれますか?

4. 選択基準を明確にする問い
・仕事を選ぶうえで、特に大切にしたいことは何ですか?
・ご自身の強みを生かせる場面はどこにありそうですか?

5. 一歩目を描く問い
・まず取り組めそうなことは何でしょうか?

   

07. まとめ

 

事例4人目は、
継承問題・若手不足・経営判断を背景に、50代管理職がキャリアの方向性を考えるケース です。

・外的な変化が大きく、状況整理が必要
・強みの棚卸しと価値観の明確化が重要
・新しい挑戦と強みを活かす方向の両方を検討する
・選択肢ではなく「選択の基準」を一緒につくる
・相談者自身の納得感を重視する

これらを押さえることで、試験官に
「相談者の本質に丁寧にアプローチしている」と伝わる対話が可能になります。

ロールプレイ練習の参考にしてみてください。