1.　ケース概要

2.　ミドル期キャリア相談で押さえる前提

3.　背景にある主要テーマ

4.　キーワードの深掘り

5.　キャリアコンサルタントとしての視点

6.　ロールプレイでの問いかけ方向性

7.　まとめ

01. ケース概要

本事例の相談者は、教育分野で長く働き、
現在は校長という組織を支える立場にあるミドル層の方です。

最近、遠方で暮らす家族に大きな変化があり、
生活や働き方をどうするべきか整理しきれず、
「どう考えればいいのかがわからない」 という状態で来談しています。

・今の役職の責任
・家族の状況
・距離の問題
・これまでのキャリアへの思い

こうした複数の要素が同時に存在しているため、
相談者自身もまだ「何を優先したいのか」が定まっていない段階です。

そのためロールプレイでは、
結論に向かう前に「迷いの中身」を丁寧に聴き分ける姿勢が求められます。

02. ミドル期キャリア相談で押さえる前提

ミドル期に多い相談の特徴を理解しておくことで、
ロールプレイの質が大きく上がります。

1. 「迷っている状態」がテーマになる
選択肢が明確になっていない段階。
方向性や考え方の基準がまだ整理できていない。

2. 立場が上がるほど迷いが深くなる
校長という役職の責任、周囲への影響、これまで積み上げてきたキャリア。
どれも大切にしたいものがある。

3. 家族の出来事が急にキャリアへ影響する
中期的なキャリア計画では想定していなかった変化が起こりやすい。

4. 二択ではないが「二択に見えやすい」
辞めるか、辞めないか
戻るか、戻らないか
実際はもっと幅広い可能性がある。

5. 価値観そのものの揺れが起きる
これまでの働き方と、今後の生き方の両方を考える時期。

03. 背景にある主要テーマ

この事例に含まれるテーマは次の通りです。

1. 介護というテーマの重さ
生活の時間的・精神的な影響が大きいテーマであり、
相談者の今後の判断に影響を与えている。

2. 校長という責任ある立場
自分が抜ける場合の影響、役割への思い、現場への責任感。

3. 距離・生活環境の変化
遠方でのサポートは、選択肢の幅を狭めるように感じやすい。

4. これまで築いてきたキャリアへの思い
教育現場で積み重ねてきた経験と誇り。

5. 「どのように考えればいいのか」わからない状態
これが今回の相談の核となる。

04. キーワードの深掘り

あなたが感じておられるキーワードに基づき、深掘りします。

介護
突然起こることも多く、働き方や生活に影響を及ぼしやすい。
相談者の迷いの源の一つ。

校長という立場
現場への責任、役割への誇り、周囲の期待など、
「辞めにくさ」につながる要因。

迷っている
選択肢や優先順位が固まっていない段階。
本人が何を大切にしたいのか整理できていない。

どのように考えればいいのか
今回の最重要キーワード。
結論ではなく “考え方の整理” がテーマ。

これらの言葉を丁寧に拾うことで、
相談者が本当に悩んでいることが見えてきます。

05. キャリアコンサルタントとしての視点

結論へ急がず、相談者の「迷っている状態」を扱うことが最重要です。

1. 事実と感情を丁寧に分けて聴く
介護の状況と、校長としての思いを混ぜないようにする。

2. 「迷いの正体」を明らかにする
何に迷っているのか、何がひっかかっているのか。
まずここがクリアにならないと方向性を語れない。

3. 二択ではなく“考え方の軸”をつくる
辞める／辞めないの前に、
「どんな働き方が自分にとって大切か」を整理する。

4. 情報と感情の両面を扱う
介護制度、支援者、働き方の選択肢など、
必要な情報が抜けている可能性がある。

5. 相談者自身の価値観を中心に据える
立場の責任ではなく、
“自分としてどうありたいのか” を取り戻す支援。

06. ロールプレイでの問いかけ方向性

ロールプレイで実際に使いやすい問いかけはこちらです。

1. 状況理解を広げる問い
・最近の出来事をどのように受け止めておられますか。
・今、一番気になっていることはどの部分ですか。

2. 校長としての思いを聴く問い
・今の役職で大切にしてきたことは何でしょうか。
・離れる可能性について、どんな気持ちが浮かんでいますか。

3. 迷いの正体を探る問い
・迷っているのは、どんな点についてですか。
・判断が難しく感じる理由はどこにありそうですか。

4. 考え方の基準を探る問い
・働き方を考えるうえで、大切にしている価値観はありますか。
・理想に近い生活や働き方はどんな姿でしょうか。

5. 一歩目を描く問い
・まず、どの部分から整理していくと良さそうですか。

07. まとめ

事例5人目は、
介護、役職、距離、これまでのキャリア、そして「迷い」
が複合するミドル期のキャリア相談です。

その中でも本質は
「どのように考えれば良いのかがわからない状態」 を扱うこと。

ロールプレイで求められるのは、

・事実と感情の分離
・迷いの言語化
・価値観の整理
・二択ではなく“考え方の基準”づくり
・一緒に一歩目を描く関わり

これらを丁寧に実践する姿勢です。

試験対策の参考としてご活用ください。