需給調整領域のキャリアを目指す方へ|公的機関とはどこを指す?【ご質問への回答】

2025.12.2




需給調整領域のキャリアを目指す方へ|公的機関とはどこを指す?【ご質問への回答】

 

本記事では、読者の方よりいただいたお問い合わせにお答えします。
国家資格キャリアコンサルタント試験の受験後に、将来のキャリアを考える中で
『キャリアコンサルタントの仕事と将来性がわかる本』の FILE2 Nさんに関心を持ち、
P33「公的機関」とは具体的にどこなのか? というご質問をいただきました。

需給調整領域を目指す方にとって、
公的機関の種類や役割を理解することは、キャリア形成の方向性を決めるうえで重要なポイントです。

ここでは、著書の内容を補足しつつ、最新事情を踏まえてわかりやすく整理します。

 

   


01. 【ご質問】FILE2Nさんの「公的機関」とはどこ?

いただいたお問い合わせを要約すると、次の通りです。

「就職・転職の相談を求める方への支援を行う公的機関」とは具体的にどこですか?

著書では“公的機関”と広めの表現を使っていますが、
実際には 4つの機関・領域の総称として記載しています。

これらはすべて、キャリア相談・求人開拓・就労支援を行う“需給調整領域”に含まれます。

   


02. 需給調整領域とは?(簡単に整理)

需給調整領域とは、
働きたい人(求職者)
人材を求める企業(求人者)
をつなぐことを中心に据えたキャリア支援領域です。

■主な業務
・職業相談
・求人開拓(企業訪問)
・マッチング調整
・就職支援プログラムの運営
・セミナー/イベント企画
・ジョブカード作成支援

相談件数が多く、対象者の幅も広いため、最も早く実務経験が積める領域 といえます。

   


03. P33で指している「公的機関」4つ

著書でいう「公的機関」は、以下4つの総称です。

 

① ハローワーク(公共職業安定所)
最も代表的な公的機関で、需給調整領域の中心です。
求職者支援・求人開拓・職業訓練・ジョブカード支援など、業務内容は幅広いです。

 

② 自治体の就労支援窓口
市区町村が設置する支援機関で、地域課題に密着した支援を行います。
例:若者サポートステーション、就労支援センター、自立相談支援機関など

 

③ 都道府県の職業能力開発関連機関
ジョブカフェ・キャリア形成サポートセンター等が該当します。
若年層、女性、ミドル・シニアなど、対象が分かれていることも多いです。

 

④ 行政が民間企業へ委託している就労支援事業
運営は民間企業ですが、役割は公的領域そのものです。
例:生活困窮者就労支援、ひとり親支援、若年者支援、氷河期世代支援など

民間のキャリアコンサルタントが公的支援に関わる最も入口になりやすいのがこの④です。

   


04. 行政委託事業が増えている理由

ここ数年、行政から民間企業への委託事業は増加傾向にあります。
その背景は以下の通りです。

■人材不足による相談件数の増加
■多様な層への支援が必要になった(若者、女性、氷河期、シニア)
■地域単位でのきめ細やかな支援が求められている
■民間企業の専門性・柔軟性が活かされる

民間でありながら「公的機関としての役割を担う」ため、
実務経験を積みながら、求職者支援の本質に触れられる貴重な現場 です。

   


05. 需給調整領域のキャリアは“経験値が圧倒的に積める”

需給調整領域の最大の魅力は、
相談件数の多さと、対象者の幅の広さ にあります。

・20代の就職支援
・40〜50代の転職支援
・60代の再就職支援
・生活困窮者・ひとり親・氷河期など、複合課題を抱える方の支援

こうした多様なケースを経験することで、
キャリアコンサルタントとしての基礎力が一気に鍛えられます。

FILE2Nさんが公的領域から企業領域へとキャリアを広げていったように、
“経験の幅がそのまま実力になる” のが需給調整領域の特徴です。

今回のご質問が、同じ道を志す方の参考になれば幸いです。