第25回国家資格キャリアコンサルタント論述試験 解答例(JCDA(日本キャリア開発協会))

2024.5.2

第25回国家資格キャリアコンサルタント論述試験 解答例
JCDA
問い1
事例Ⅰは「自分が嫌になっている」(cl6)clの気持ちを受止めず「よくあること」(cct6)等cctの価値観で解釈して話を進め、「気持ちが晴れない」(cl8)「自分にイラつく」(cl9)の訴えにも「相談できる人は」(cct8)「趣味は」(cct10)等、clの感情を無視し、問題解決に向けた展開を試みているがclには受け入れられず内省は進んでいない。事例ⅡはBさんに冷たく当たってしまった経験を聴き(cct6)clの気持ちを理解しようと関わっている。clが繰り返し語る「実力」の意味を問いかけ高校のバスケ部での経験を引き出している。更に「実力」に焦点を当て、問いを重ねることで内省が進み「結局周りを気にしていただけ」との気づきにつながる展開となっている。

問い2
相応しくない
「自分にイラつく」(cl9)clの気持ちを受止めないまま「Aさんには実力がある」「少し落ち込んでいる」というのはcctの主観に基づく一方的な決めつけによる応答であり、clも納得できない様子を見せている(cl10)ため。
相応しい
「見捨てられたくなくて・・・」(cl11)繰り返すことでclに対してそのような自分を客観視させる応答であり、それにより、clの内省を促すことができ、「周りを気にしていただけ」(cl12)との気づきにつなげることができているため。

問い3
1、「実力がないと相手にされない」(cl10)より、他者評価に過度の依存があり、適切な自己評価が見られず、自己理解不足の可能性がある。
2、「力もなく・・・お客様の力になれない」(cl3)等clなりの営業観が強くあるが、主観であり営業として本当に何が求められているか自身の仕事や役割について思い込みや理解不足が感じられる。
3、「実力」を大切にしてお客様の力になろうと努力してきたが「疲れた」「空しい」(cl1)状態になっていることから、今回の先輩の引継ぎの一件により、自己概念が揺らぎ、自分がどうありたいのかも不明確になっていると考えられる。※()は事例Ⅱより。
問い4
1、営業成績を追うことに疲れ、空しいというclの気持ちに寄り添い信頼関係を深める。
2、cl12を更に傾聴することで、周りを気にしていた自分「実力」の意味について更なる内省と気づきを促す。
3、お客様の力になろうと努力し、成績を上げ、お客様からもからの紹介も増えてきた経験を振り返ることで自分のスキルや能力、仕事に対する価値観等、棚卸しを行い、再評価、自己理解を深める。
4、営業として「お客様の力になること」の意味について再考を促す。必要であれば、上司、先輩とも相談等促し、仕事や役割について理解を深める。
5、これら踏まえAさんが今後自分自身どうありたいのかを自律的に考え、その実現に向けて気持ちを切り替えて、前向きに仕事に取り組んでいけるよう支援する。