第28回国家資格キャリアコンサルタント論述試験 解答例(JCDA(日本キャリア開発協会))

2025.4.26

第28回国家資格キャリアコンサルタント論述試験 解答例
JCDA

問い1
事例Ⅰは、「本当にこのままでいいのか…」(CL5)というCLの気持ちを受容せず、「不満」と決めつけ一方的に転職を提案(CCt5)し、その後も「仕事ってそういうもの」(CCt7)「もう少し我慢されては」(CCt8)とCCtの固定観念で面談を進めている。「でも…」(CL9)と納得していないCLに対しても「考えすぎでは」(CCt9)と応えるなど、終始共感に欠け面談が展開していない。事例Ⅱは、「自分で勝ち取ったという感じがしない」というCLの気持ちを丁寧に受け止め、前職での経験の再現を促している(CCt5)。さらにCLが繰り返す「自分で勝ち取る」「自分の力で役に立つ」と言った言葉を捉え、問いかけを通じてその背景にある価値観を意味づけようとしている(CCt7)。その結果、「できない自分を見られたくなかった」(CL9) という気づきや「周りが見えなくなっていたかも」(CL10)といった深い内省につながる展開となっている。

問い2
事例ⅠのCCt5 (相応しくない)
CLの悩む気持ちを受け止めず早期に転職を勧めることは、CCtの決めつけによって面談を方向付け、CLの自己探索を妨げる応答でありCLも「そんなに簡単に言わないで…」(CL6)と反発する様子を見せているため。

事例ⅡのCCt7 (相応しい)
CLが繰り返し語る言葉を捉え、その背景にある価値観を意味づけようとする応答であり、CLの内省を促し「自分の努力が結果につながらないと…」(CL8)「周囲に認めさせたい」(CL9) といった気づきへとつながっているため。

問い3
1.先のプレゼンで技術部門の人と自分とを比較していたたまれなくなり(CL5)、その経験が自信の低下につながっている様子が見られる。
2.「営業ってただの窓口」「(知識を学んでも)求められていない」(事例ⅡCL7)等の発言から、現職における営業の役割や自身の貢献に対する否定的な思い込みが見られ、仕事理解の不足がうかがえる。
3.前職はやりがいを感じていたものの過重労働に悩み転職し(事例1CL6)、現職はやりがいや達成感を感じられていないことから、CLにとって納得感のあるライフキャリアプランが描けていない状況であると考えられる。
問い4
1.CLの「このままでいいのか…」と悩む気持ちに寄り添いラポールを築く。
2.CL11を傾聴し、「周りが見えなくなっていたかもしれない」というCLの気づきに対して、さらなる内省を促す。
3.そのうえで、先のプレゼン経験を振り返る。技術職と自分の違いは役割の違いによるものであったこと、プレゼンの成功にはCL自身が築いてきた信頼関係が貢献していたことに気づきを促すことで、自信の回復につなげる。
4.加えて、上司や人事、他部門とのコミュニケーションを通して、営業職の役割や自身の貢献への理解を深め、否定的な思い込みの修正を図る。
5.そのうえで、自身のやりがいや達成感について再考を促す。
6.また、家庭と仕事の両面からCLのありたい姿を明確にし、ライフキャリアプランの再構築を支援する。
7.これらを踏まえて、CLが納得感を持って働いていけるように支援する。