【ロールプレイ】乳がんと仕事の両立に悩む42歳課長|休職すべきか続けるべきか

2026.2.13

【ロールプレイ】乳がんと仕事の両立に悩む42歳課長|休職すべきか続けるべきか

   


01.はじめに|「治療を優先したい」のに、仕事の責任が手放せない

   

「治療を優先した方がいい」。頭では分かっていても、簡単に決断できないことがあります。
特に、管理職や責任ある立場の方ほど、仕事の穴をつくる不安周囲への申し訳なさを抱えやすくなります。

さらに治療が始まると、体調の波や通院頻度、職場への伝え方など、現実的に考えることが一気に増えます。

今回紹介するロールプレイは、乳がんの診断を受けた42歳の営業課長が、
休職・時短勤務・情報開示の範囲をどう考えるか悩むケースです。

実務の面談整理としても、ロールプレイ練習(試験対策)としても、学びが多いテーマです。

   


02.ケース概要|乳がんと診断された42歳・営業課長の葛藤

   

相談者は42歳の女性。夫(44歳)、中学生の長男(15歳)、小学生の次男(12歳)の4人家族です。
四年制大学(経営学部)卒業後、食品メーカーに営業職として入社し、勤続20年。現在は営業課長として、部下5名のマネジメントと主要取引先の担当を担っています。

先月の健康診断で乳がんが見つかり、精密検査の結果、早期のため手術+術後の放射線治療+ホルモン療法で治る見込みと医師から説明を受けました。
ただし治療には数か月を要し、副作用で体調が不安定になる可能性もあるとのこと。

課長という立場もあり、

・部下に迷惑をかけたくない
・取引先に支障を出したくない
・病気をどこまで伝えるべきか分からない
・休職すべきか、時短で続けるべきか決められない

と悩んでいます。夫は「治療を優先して」と言ってくれる一方、キャリアが途切れる不安も強く、今後をどう考えるべきか相談に訪れました。

   


03.このケースの難しさ|「休職 or 継続」の二択に落ちやすい

   

このケースの難しさは、状況を「休職するか」「働き続けるか」の二択に整理しやすいところにあります。

しかし実際には、

・休職=キャリアが終わる
・継続=無理をしてでも責任を果たす

のような単純な構図ではありません。

治療の見通し、体調の波、職場の制度、業務の引き継ぎ、情報開示の範囲…。
こうした要素が重なって、相談者は「決められない状態」に陥りやすくなっています。

キャリアコンサルタントの役割は、答えを提示することではなく、相談者が整理し、現実的に選べる状態にしていくこと。
この前提があるだけで、関わり方が大きく変わります。

   


04.ポイント① まずは「不安」を分解して言語化する

   

このケースでは、相談者の言葉が「迷惑をかけたくない」「どうしたらいいか分からない」に集約されやすいのが特徴です。
まずは、不安を分解して言語化し、扱える形にしていきます。

たとえば、次のように切り分けていきます。

・何に一番迷惑をかけたくないのか(部下/取引先/上司/家族)
・「キャリアが途切れる」とは、具体的に何が怖いのか(評価/昇進/役割/自信)
・病気のことを伝えるのが怖いのは、何が起きそうだからか(偏見/配慮のズレ/噂)

不安はなくすものではなく、整理して“選択の材料”にするものです。
ここが言葉になると、制度や選択肢の話に入りやすくなります。

   


05.ポイント② 開示・制度・体調…“現実”を整理して選択肢を増やす

   

感情の整理が少し進んだら、次は“現実の整理”に入ります。
ここでのコツは、相談者が抱えやすい二択(休職か継続か)を段階的な選択肢に変えていくことです。

具体的には、次の整理が役立ちます。

・治療スケジュールの見通し(いつ何が起きそうか)
・体調の波に備えるための働き方(在宅/外出頻度/移動負荷)
・休職制度/時短勤務/休暇制度の確認(会社の規程)
・公的制度の確認(例:傷病手当金など)
・職場への開示範囲(誰に、何を、どこまで)
・業務の棚卸しと引き継ぎ(今の仕事を“分ける”)

ここで重要なのは、制度を説明して終わりにしないこと。
相談者が「使える形」に落とし込むところまで対話を進めていきます。

   


06.ポイント③ 「キャリアが途切れる怖さ」を扱い、回復の見通しを描く

   

このケースでは、「治療」だけでなくキャリア中断への恐怖が大きなテーマになります。

ここで急いで「大丈夫ですよ」「治療が最優先です」と言ってしまうと、相談者は置いていかれます。
大事なのは、怖さをちゃんと扱いながら、回復後を見越した“見通し”を一緒に描くことです。

たとえば、次のような整理が有効です。

・復帰後、どんな状態なら「戻れた」と感じられそうか
・課長として守りたい役割は何か(全部ではなく“核”)
・今は守るフェーズか、攻めるフェーズか(期間の捉え方)

ポイント(関わりのイメージ)

「休む=終わり」ではなく、
“回復して戻るための設計”として位置づけ直す。
ここが整理されると、相談者は安心して次の一歩を考えられるようになります。

   

キャリアの視点が入ることで、「治療だけの話」から「人生の整理」へと対話が広がっていきます。

   


07.本事例について|オリジナル事例の位置づけと配慮

   

本記事で紹介しているロールプレイ事例は、
実際の相談現場や養成講習で多く見られるテーマをもとに、弊社が独自に構成したオリジナル事例です。

特定の個人や企業をモデルにしたものではなく、学習・実践目的で再構成しています。
守秘義務や倫理的配慮の観点からも、安心して練習に活用できるよう設計しています。

   

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09.まとめ|整理が進むと、“両立の形”は一つではなくなる

   

乳がんと仕事の両立に悩むケースは、単なる「働き方の問題」ではなく、
責任感・罪悪感・将来不安・家族への思いが重なって起きやすいテーマです。

このロールプレイのポイントは、

・不安を分解して言語化し、“扱える状態”にする
・開示・制度・体調など現実を整理し、二択を“段階的選択肢”に変える
・キャリア中断の怖さを扱い、回復後を見越した見通しを描く

という整理にあります。

整理が進むと、「休む/続ける」の二択ではなく、両立の形がいくつも見えてきます
本記事が、ロールプレイ練習や、相談場面の理解に役立てば幸いです。