面接での印象を良くするために―学生への指導について

2022.2.7

 
 

面接での印象を良くするために―学生への指導の必要性

 
 
履歴書・エントリーシートで合格した学生は、

次は、面接に進みます。

インターンシップに応募する場合も、

面接が行われることがあります。

そこで、必要となるのが、面接におけるマナー指導です。

細かいマナーの指導は専門家に任せても良いですが、

最低限、印象を良くするための指導は

キャリアコンサルタントとしても必要でしょう。

学生が面接官から良い印象を持ってもらえるように、

自信を持って面接に向かえるように、アドバイスしてあげましょう。

 
 

 
 

印象に影響を与える非言語コミュニケーション

 
 
まず、はじめの関門が第一印象です。

第一印象は、数秒で決まると言われています。

よく紹介されるのが、

メラビアンの法則(アメリカのメラビアンという心理学者による)です。

それによると、第一印象を決める要素の割合は

見た目の印象55%、声の印象38%、話しの内容7%

とされています。

話しの内容は、たったの7%?と

思われるかもしれませんが、

これは、あくまでも第一印象で

時間の経過と共に、この数値は変わると思われます。

面接が進むと、内容が大きな要素となってくるでしょう。

しかしながら、面接の始終声が小さい、目が合わない、

姿勢が悪い…となれば、学生がいくら良いことを言ったとしても、

内容に説得力が出ません。

言語の情報に対して、非言語の情報は特に面接などの初対面の場合、

相手の人柄を判断することに大きな影響を与えてしまいます。

学生が面接で合格するためには、

自己PR等の内容の指導、つまり言語の指導だけではなく、

非言語の指導・マナーの指導が必要です。

 
 

 
 

学生と共に考える

 
 
学生に指導する場合、

1から指導するのではなく学生も一緒に考えてもらうと良いでしょう。

髪型はこうしましょう、服装はこうしましょうと、

一方的に指導するだけでは、学生は

いつまでも「これでいいですか?」と正解を求めてきます。

キャリアコンサルタントとしては、

できるだけ学生自身に

「相手に良い印象を持ってもらうためには、どうしたら良いか」

考えてもらい、自ら行動することを促したいものです。

最初のアプローチとして、

「面接官にどのような印象を持たれると良いと思いますか?」と尋ねてみます。

「やる気がある」「真面目そう」「明るい」…

すべての意見を受け入れることにより、

学生自身が自ら考えてみようとする意識が芽生えます。

 
 

 
 

学生への指導法①悪い見本で考えさせる

 
 
指導法の一つが、悪い見本から考えさせることです。
 
 
・面接時に学生Aさんが、

髪とマスクでほとんど顔が隠れた状態で下を向いたまま

「〇〇大学から参りました。〇〇〇〇と申します。よろしくお願いいたします。」

と、小さい声で挨拶しました。どんな印象を持たれるでしょう?

————————–

・学生Bさんは、素晴らしい内容の自己PRを天井の左右を見上げながら、

面接官の顔を見ることなく話しました。

Bさんの素晴らしさは伝わるでしょうか?

————————–

学生Aさんは、「暗い」「自信がない」「緊張している」

という印象が持たれることが予想できます。

学生Bさんは、「偉そう」「覚えてきたことをただ言っているだけとみられそう」

なんていう意見が出るかもしれません。

そこで、どうすれば印象が良くなるか?やる気は伝わるか?等と質問し、

学生に考えてもらいながら指導に繋げると納得感が得られます。

学生Aさんは、「髪で顔を隠さず、額を出した方がよい。」

「声は明るく大きな声が良い」

「しっかりお辞儀をすると良い」

学生Bさんに対しては、「面接官の顔をしっかり見て話す方が印象が良い」

という意見が出るかもしれません。

もし、学生から、面接官の目を見ると緊張するという心配が出た場合は、

面接官の額や鼻を見るようアドバイスすると良いです。

複数の面接官に対しては、質問をしてきた面接官を中心に見て話しながら、

他の面接官にも時々数秒程度

1つの文章を伝える程度の長さで

顔を向けるとアドバイスすると良いでしょう。

 
 

 
 

学生への指導法②挨拶から実践指導する

 
 
学生に「挨拶の練習をしましょう」と言うと、

恥ずかしさのせいか「本番になったらできるから大丈夫」

なんて言われることがしばしばあります。

しかしながら、しっかり練習した学生とそうでない学生は、やはり差が出ます。

後から尋ねると、「やっぱり緊張してうまくできなかった」という場合がほとんどです。

挨拶から実践指導しましょう。

まずは、立ち姿です。

まずは、自分なりに「姿勢よく立つ」ことを意識して立ってもらいます。

チェックポイントとして、

①かかとを付ける。
②両肩・背中が一直線になるよう開く
③やる気の目力-マスクをしていても、口角が上がることを意識させます。
④手の位置は、男性が横で、指先まで真っすぐ伸ばします。女性は、軽く前で手を重ねます。

これで、立ち姿の印象が変わります。

学生をペアにさせ、互いに印象を確認してもらうと良いでしょう。

次に、声です。

「よろしくお願いいたします。」と、声を出します。

声の大きさが大きいと

「やる気がある」「自信がある」という印象を与えます。

しっかり口を開け、声を出し、印象を確認しましょう。

自分が思っている以上に、大きな声を出さなくては、

相手にやる気が伝わらないことに気づきを得てもらいます。

そして、お辞儀です。

言葉を発してからお辞儀をすると、声が届きやすくなります。

お辞儀のポイントは、

腰から上が一直線になっているイメージで、そのまま倒します。

一旦止まり、良い姿勢に戻ります。

①良い姿勢
②「よろしくお願いいたします。」
③お辞儀
④良い姿勢(良い表情)

まずは、印象の良い挨拶を何度も練習し、体得するように指導します。

やる気が感じられる挨拶ができるようになれば、しっかり誉めてあげましょう。

これができれば、次に、面接の場面を想定して

面接官役が、「大学名とお名前をお願いします」と言い、

学生役が、

「はい!〇〇大学〇〇学部の〇〇〇〇と申します。
よろしくお願いいたします。(お辞儀)」

を何度も練習してもらいましょう。

特に名前がよく聞き取れるか、確認します。

苗字と名前の間を少し区切ると聞き取りやすいです。

面接は誰もが緊張します。

挨拶をよく練習し体得できれば、

どんなに緊張しても、しっかりとした挨拶はできます。

面接の第一段階、第一印象をクリアできます。

 
 

 
 

学生への指導法③「なりたい自分」をイメージする

 
 
「世界で活躍する商社マン」

「きめ細かな気くばりができるホテルのコンシェルジュ」

「優しい介護職員」…

その企業に合格した後の「なりたい私」学生にイメージしてもらいます。

そのなりたい私は、どんなふうに話しているでしょう?

「世界で活躍する商社マン」等、「なりたい私」になったつもりで、

「よろしくお願いいたします。」と挨拶します。

と練習します。

うまくできるようになったら、

「本当に世界で活躍する商社マンのように見える」と伝えてあげましょう。

学生のモチベーションが上がります。

スキルは伴わなくても、

イメージだけなら「なりたい私」に一瞬でなれるのです。

 
 

 
 

共に学びあう

 
 
これらのポイントを押さえてアドバイスすれば、

敬語等、その他のマナーは、

学生自らが書籍やインターネットで調べて知識を得ることができるでしょう。

人の印象は相手が決めます。

しかも、

その相手は同世代の仲間ではなく、目上の社会人です。

学生が自分本位にならず、

相手に良い印象を持たれる必要性に気づきを得られるように、

そして、なりたい私に近づけるように指導しましょう。

そして、私たちキャリアコンサルタントも、

日頃から相手に与える印象を意識しましょう。

私たちも、学生を通して、気づきや学びを得ています。

キャリアコンサルタントの姿が学生にとって、

社会人としてのお手本になることを自覚し、

常に学ぶ姿勢を持って仕事に取り組みたいものです。